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【旅の酒肴】蔵王高原紀行(3)
第二章 温泉

 「酒の魔力」いえ「酒の魅力」に取り憑かれた者は誰しも、堪え性がなくなっていくものであります。それでもまづは温泉というわけで、ホテルの浴衣に着替えるのももどかしく前述の「源泉かけながしの湯」へゴーであります。

 2階から大浴場へとつながる構造なのですが、このホテルは浴場が2つある。「源泉かけながしの湯」というのはそのうちの一つで露天風呂風と銘うった「不忘の湯」というお湯があるわけです。はじめてだと経路がちょっとわかりにくい。

 2階でエレベーターを降りて、左側の客室方向へさらに左折して客室通路をつきあたりまで進むと、どんづまりに専用エレベータがある。ちょっと雰囲気は深夜だとこわいかも。ボタンは2階と地下1階の2つだけ、つまり直通。

 地下1階からはよくある木造の枠組みとコンクリートに飛び石を配置したような温泉らしい雰囲気の階段上の通路を降りていくと男女別のお風呂があるわけです。残念ながらというか安心したというかここでは混浴はありません。

 余談ですが混浴はいろいろな点で気疲れします。経験者ならご存知でしょうが湯船につかるタイミング、上がるタイミング。視線のやり場にも神経をつかうというものです。それでも声はできるだけ掛けることにしているんですね。

 「こんにちは〜」とかですね。若い頃はたいへんですよ。なにせ感受性のつよいたち??だったものですから、ところかまわず。相手かまわずでタオルが唯一のすくいであったわけです(汗)。(ご婦人のみなさん ごめんなさい。)

 話をお風呂へ戻しますと。噂にたがわない「源泉かけながしの湯」でございました。「かけながし」などと言いますと温泉によっては、数分と入っているのも根性がいるというくらい常人には堪え難いのもございますが、ここはほどよく熱いのであります。

 温度は気になりません。ぬるぬる、すべすべ系のお湯ですからご婦人がたは大喜びかもしれませんね。それが証拠に、嫁などは「スベスベで肌が白くなったようよ」などと言ってるんですね。わたしは気のせいだと思うんですが、そこをグッと飲みこみ、「あッ、ほんとだね〜」などと言ってあげる。これが結婚生活30年の秘訣なのでありますよ。

不忘の湯


author:酒呑仙人見習, category:, 15:00
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